昨今物流ロボットの検討を進められている会社が増えております。実際に当社への問い合わせも日に日に増えており、以前よりも物流ロボットへの敷居も低くなってきているのではないでしょうか。しかしながら、物流ロボットの導入事例数や浸透度合いもまだまだ従来型のマテハン機器と比べると情報量が少ないというのが実情かと思われます。
そこで今回は物流ロボットの選定に際して、検討プロセスや比較対象となるロボットの種類や特徴を交えてご紹介したいと思います。
目次
選定プロセスについては主に以下の3つの観点より検討を開始するのが良いでしょう。
・導入決定から運用開始までの計画策定
・作業工程にあった物流ロボットの選定
・安全のための現場環境設計
特に導入決定から運用開始までの計画の中には導入するロボットは当然のことながら、その他にも導入しているオートメーション型の機器との調整や倉庫管理システム(Warehouse Management System=以下WMS)の改修有無なども加味した計画を考慮すると良いでしょう。物流ロボットの種類と特徴などは後述しますが、その特性や物流現場との相性などは、導入後の生産性に大きく影響します。特にWMSについては各社とも重要な業務知見の集積となっている一方でロボット対応を含めた業務運用変更時には大きなハードルになる要素を含んでいるため、現状の業務フローとロボット導入後の業務フローを比較し、自社の業務要件を十分に満たしているかといった視点で確認することが必要になります。物流ロボットといっても作業工程毎に多種多様なロボットが誕生しております。その中でも物流現場の主要な工程であるピッキング作業に従事する物流ロボットとして代表的な事例を紹介したいと思います。
※上記物流ロボットの特徴や向いている物流倉庫の記載については特定商品を指すものではなく概念的な理解・表現としている商品サイズについては作業者が単独でピッキングする際の商品サイズを設定するが、上限値は各種ロボットの最大収容能力に準ずる。
GTP(Goods to Person)やAS/RS(Automated Storage and RetrievalSystem)に関しては、インフラとなる物流拠点の構築が大規模になることから、初期投資の規模も大きくなる傾向にあります。保管量も配送量も多い物流センターといった規模の大きな物流センターの自動化は、ランニングコストを踏まえても、長期的にメリットが出る可能性が高く、特に新規に倉庫を作る際などは検討の価値ありです。中小規模のセンターの場合は既存のオペレーションと組み合わせた中で初期投資の改修に見合うだけの作業生産性を出せるか、中長期的な運営計画の中でランニングコストをどの抑えられる見込みを出せるかといったところが判断の分かれ目になるかと思います。またGTPやAS/RSは設置の際に、安全のための無人化区画の設定や既存エリアとの緩衝地帯を設けるための専用ラック設置といった作業が必要になるケースがあります。またロボットの種類によっては床面や壁面にバーコードや磁気テープといったガイド(誘導線)が必要になるケースもあり、投資の段階で現状復帰する際の費用なども考慮しておくと良いでしょう。
AMRは、初期投資のハードルが低いのが大きなメリットです。買取もありますが、当社のRaaSモデルの場合、契約条件にもよりますが月8万円~10万円程度でサブスクモデルの支払いオプションを用意しております。つまりロボットの月額レンタルが可能なのです。またAMRの汎用性を活かして繁閑による導入台数の増減も可能です。この辺りについては当社AMRの特性をご紹介するページで詳しく説明できればと思います。
当社のお客様でもお試し的に数台を導入して、物流倉庫内の改善具合を効果検証しながら追加するプランを採用される事例もあり、他の物流ロボットやマテハン機器と比較してもコスト面から見た導入ハードルは一般的に低いです。また棚の間を行き来する導線では、センサーとAIによる自律走行が大きな威力を発揮します。ガイドなしでの走行が可能になることで現状レイアウトの大幅な変更をせずに導入できる点や現状復帰費用を極力抑えられる点は自社保有・賃貸を問わず既存倉庫を運営されているお客様に好評頂いているメリットと言えます。
AMRについては当初からの設計思想の中で人との協働が据えられることもあり、GTPなどに見られる緩衝地帯を設ける必要はありません。当社が提供するAMRにおいてもお客様の作業状況に合わせたロボットの走行速度を導入時点で調整やロボットの走行区画を正しく認識するための現場設計をサポートしますので必要最低限の配慮で済ませられます。またメリットだけではなく、導入のリスクも事前に把握しておきたいところです。そのあたりは次回以降ご案内しますのでご期待ください。
①導入倉庫の環境物流情報や検討している背景の整理
倉庫レイアウト(広さ)、取扱品目、商品数量、日別出荷数、保管ロケーション数、各工程の作業員数、などの基礎情報を整理しておくと良いでしょう。物流ロボット選びの際に基本情報となり、ロボット提供会社と話を進める際もスムーズです。
②作業工程の課題や業務要件を抽出し、その他関連機器やシステムの組み合わせの検討
自社のオペレーションが現在抱える課題や重要視している内容を業務要件として抽出します。特に現オペレーションでの作業内容については現場スタッフが感じている課題と合わせて吸い上げるのも良いでしょう。年間の中での繁忙の度合いや、人員の雇用状況や採用状況、既に導入しているWMSやオートメーション機器との組み合わせといった点を総合的に確認することが必要です。数ヶ月から場合によっては複数年単位での計画となる可能性もありますので具体的な情報取集と合わせて検討するのが望ましいです。
③具体的な情報収集開始
上記②の課題に対して、適しているロボットの特性を見定め、情報を集めていきます。この段階で、気になるロボット提供会社と連絡を取り合って接触してみましょう。当社では前述した通り初期投資を抑えながらAMRをご利用いただけるRaaSモデルを提供しております。またお客様の業務要件などを確認させて頂いた後に物流現場との相性や使用感を気軽に感じて頂ける実証実験を数日間で行うプランを用意するだけでなく、デモ環境をご視察頂ける当社の越中島ラボや導入企業様と提携してAMR導入現場においての見学会なども企画して参ります。ご興味を頂きましたらお気軽にお問合せください!
株式会社ROBOCREW
営業部ディレクター
日髙 大介
※株式会社ROBOCREWはシリウスジャパン株式会社と株式会社KEYCREWにて設立した合弁会社です。