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物流のピッキングとは?種類別メリット・デメリットや選び方を紹介

作成者: Gwonji Lee|Aug 22, 2025 12:33:55 AM

物流では出荷や梱包、入庫といったさまざまな作業が毎日行われています。そのなかでも、直接売り上げに影響を及ぼす作業として、「ピッキング」があります。顧客から送られた受注データをもとに、SKUや数量などを依頼どおりに用意しなければなりません。本記事では、物流のピッキングとはどのようなものなのかについて、種類別のメリット・デメリットや選び方とあわせて解説します。

 

ピッキングとは?

ピッキングとは、倉庫内に保管されている商品や部品などを注文ごとに取り出す作業のことを指します。物流業務の中核を担う工程であり、出荷精度や納期遵守に直結する重要なプロセスです。作業の正確性と効率性が求められるため、適切な管理手法やシステムの導入が不可欠となりました。近年では自動化が進行しており、倉庫全体のオペレーション最適化においてもピッキング作業の高精度化・高速化が行われています。

 

ピッキングの種類とメリット・デメリット

1. シングルピッキング

シングルピッキングは、1注文ごとに個別に商品を取り出す方式です。「摘み取り式」とも呼ばれ、小規模な出荷や多品種少量の現場で多く採用されています。

ーメリットー

作業が注文単位で完結するため、誤出荷や数量ミスを抑えやすく、出荷精度が高まります。また、操作が直感的で新人でも習得しやすく、WMSとの連携によりロケーション管理の簡素化が実現できます。

ーデメリットー

一方で、同一商品を複数注文から個別に取り出すため、移動距離が増加し、作業効率が低下する傾向があります。注文数が多い場合には非効率な作業が重なり、人員や時間の無駄が発生しやすくなる点がデメリットといえます。

 

2. トータルピッキング

トータルピッキングは、複数の注文に対して共通する商品を一括で取り出し、後工程で仕分ける方式です。種まき式とも呼ばれ、商品単位でのピッキングを優先する点が特徴です。

ーメリットー

共通商品をまとめて取り出すため、倉庫内の移動回数を大幅に削減でき、作業の生産性が向上します。特にSKU数が多い現場では、ピッキングリストの最適化と合わせてルートの短縮が可能です。

ーデメリットー

一方で、ピッキング後の仕分け作業が必須となるため、工程数が増加します。仕分けミスが発生するリスクがあるほか、運用には明確な管理ルールと精度の高いチェック体制が求められます。

 

3. マルチピッキング

マルチピッキングとは、複数の注文をまとめて処理しながら、同時にそれぞれの注文単位で商品を取り分ける方式です。トータルピッキングとシングルピッキングの中間的存在であり、近年ではデジタル化にともない、業務の効率化に寄与しています。

ーメリットー

移動回数を抑えつつ、注文ごとの分別も同時に行えるため、作業全体の効率と精度を両立しやすい点が強みです。保管機器や仕分けシステムとの連動により、自動化を進めやすいことから、ピッキングと仕分けが並行して進行します。

ーデメリットー

一方、マルチピッキングは複数の注文を同時に扱うため、管理が煩雑になる恐れがあります。作業者には高い注意力が求められ、システムによるサポートや研修体制が整っていない場合、誤ピッキングのリスクが上昇します。

 

ピッキング方法の選び方

現場の作業量や商品特性、出荷形態に応じて最適なピッキング方式の選定が重要です。業務効率や人員配置、保管設備との連携も考慮しながら、運用目的に合致した手法を選定しましょう。

 

ピッキングを効率化する4つのポイント

ピッキング方法を選択する際、下記のポイントを押さえておくことが重要です。

1. ピッキングリストの最適化

作業ルートや商品配置を考慮したピッキングリストを作成することで、無駄な移動を減らすことができます。WMS(倉庫管理システム)と連携し、リアルタイムで情報を反映する仕組みが有効です。ーWMSについての詳細はこちら

 

2. 作業ルートの見直し

倉庫内の動線を見直し、最短ルートで作業を行えるように配置を最適化します。ゾーニングやABC分析などの手法を活用し、頻出商品の配置を工夫することも重要です。

 

3. チェック体制の見直し

作業ミスや誤出荷を防ぐには、ピッキング後の確認体制が不可欠です。スキャンによる照合や二重チェック体制を導入することで、品質向上とトラブル防止につながります。

 

4. アウトソーシング

自社だけで対応が難しい場合は、専門業者への委託も選択肢となります。ピッキング作業の専門性を活かし、高品質なオペレーションを外部から取り入れることで、全体の業務効率を高めることが可能です。

 

終わりに

本記事では、物流のピッキングの種類別メリット・デメリットについて解説しました。

シングルピッキング、トータルピッキング、マルチピッキングといったそれぞれの手法には、メリットとデメリットが存在します。重要なのは、自社の扱う商品の種類、出荷量、そして現場の規模といった多角的な視点から、最適な方法を見極めることです。一つの方法に固執するのではなく、それぞれの良い点を組み合わせたり、必要に応じて見直しを行ったりすることで、物流業務は常に改善されていきます。

まずは、現状の課題を洗い出すことから始めてみませんか。無駄な移動はないか、ミスが多発していないか、人員配置は最適か。そうした日々の小さな気づきが、物流全体の効率化、ひいては企業の競争力向上へとつながります。本記事が、物流改善の一助となれば幸いです。